ほうわ

み教えに学び自分自身をふりかえります

心を潤(うるお)す法(ほう)の雨(あめ)

栗の花(雌花)

栗の花 穂のような雄花と大きさ数ミリの雌花

【法雨 ほうう】
萎(な)えし身(み)に 法雨(ほうう)をそそぐ 栗花落(ついり)かな 住職

【法音 ほうおん】
雨音(あまおと)に 安居(あんご)を告げる 響(ひびき)きあり    住職


お念仏を称えながら栗の花を見ています。
栗の花
栗の実は何度も見ていますが、栗の花はあまり見ていませんでした。栗の花も見ていたのは穂のような雄花です。大きさ数ミリの雌花はひっそりと点在していて、ほとんど目に留まることはありません。
私自身長い人生で、栗の花に雌花が咲いていることに今初めて気がつきました。受精した雌花が実をつけます。雌花にはトゲがあり実をつけたときイガになります。
本質・根本
なにごとも結果(栗の実)だけを性急に求めすぎると、途中の過程が見えなくなります。結果から因(たね)を訪ねることも大切です。また、表面のことに目を奪われると、本質を見失うことになりかねません。
内にある本質は見ようとしても見えるものではないようです。本質が自(みずか)ら顕(あらわ)れてくると思います。暗闇に目が馴れてくるぐらいの時間、ただ待つしかありません。
苦しみの本質・根本
ことに、私たちの苦しみの本質・根本は、自己中心の壁をつくって閉ざされた世界に安住している私の眼には見えていません。自己中心の壁をさまたげとしない阿弥陀さまの智慧(ちえ)の眼でしか見えてきません。
お念仏の声がなぜ私の口から出てきたのか、その根本を訊(たず)ねれば、私たちの苦しみの本質も、自(おの)ずとあきらになるでしょう。


お念仏を称えながら雨の音を聞いています。

心を潤(うるお)す法(ほう)の雨(あめ)
さまざまなストレスの多い世のなかで、立ちあがることができないほど、気力が萎(な)えてくるときがあります。
そのような時に静かに仏法を聞けば、ほどよい雨が草木を潤すように、仏法の雨が心を潤して、しなやかさと活力を与えてくださいます。
梅雨に入ることを栗花落(ついり)ともいいます。栗の花が落ちるころ梅雨に入るからだそうです。
雨音(あまおと)の響き
お釈迦さまは雨季に一所に止まって法を説かれました。雨量の多い雨季には屋外での修行が困難であったためです。安居(あんご)はこのことに由来しています。
雨音の響きを静かに聞きながら、お釈迦さまの教えを心静かに聴聞するのも、大切なことのように思います。乾いた心にも少しずつ潤いと静寂(せいじゃく)さが、もどってきます。
静寂を楽しむ
仏さまがたは、さまざまな手立てで私たちを導こうとされています。そう考えると世のなかのあらゆることはすべて、私たちを迷いの夢から目覚めさせようとする、仏さまがたの、はたらきのように思えます。
そのなかで、祇園精舎(ぎおんしょうじゃ)で説かれた仏説阿弥陀経は、聴衆のだれもが声を発することのない静寂な状況のなかで説かれています。お釈迦さま生涯最後の説法を、一言も聞き逃さないように聞いています。

経文の行間には静寂さが満ちています。

お釈迦さまの説法には、法雨が聴衆に浸透するのを待つような、静かな間があるのでしょう。智慧第一の舎利弗(しゃりほつ お釈迦さまの弟子)は聴聞でも第一のようです。


1.仏説無量寿経の言葉 法雨をそそぐ
①原文
成道(じょうどう)せられし菩薩(ぼさつ)は仏(ぶつ)の遊歩(よぶ)をもつてし、仏(ぶつ)の吼(く)をもつて吼(く)す。法鼓(ほうく)を扣(たた)き、法螺(ほうら)を吹(ふ)き、法剣(ほうけん)を執(と)り、法幢(ほうどう)を建(た)て、法雷(ほうらい)を震(ふる)ひ、法電(ほうでん)を曜(かがや)かし、法雨(ほうう)をそそぎ、法施(ほうせ)を演(の)ぶ。つねに法音(ほうおん)をもつて、もろもろの世間(せけん)を覚(かく)せしむ。
仏説無量寿経 浄土真宗聖典(註釈版)5頁 

②現代語訳
仏(ほとけ)となったこの菩薩(ぼさつ)はあちこちに足(あし)を運(はこ)び、説法(せつぽう)を始める。それはあたかも、太鼓をたたき、法螺貝(ほらがい)を吹き、剣を執(と)り旗を立てて勇ましく進むように、また雷鳴(らいめい)がとどろき、稲妻が走り、雨が降りそそいで草木を潤すように、教えを説き、常に尊い声で世の人々の迷いの夢を覚ますのである。
浄土三部経(現代語版)6頁

2.仏説無量寿経の言葉 生死勤苦の本
①原文
われをして世(よ)においてすみやかに正覚(しょうがく)を成(な)りて、生死勤苦(しょうじごんく)の本(もと)を抜(ぬ)かしめたまへ。
仏説無量寿経 浄土真宗聖典(註釈版)14頁
②現代語訳
どうぞわたしに、この世で速(すみ)やかにさとりを開(ひら)かせ、人々の迷いと苦しみのもとを除(のぞ)かせてください。
浄土三部経(現代語版)22頁


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